派遣と業務委託の違いとは?製造業の人材確保に最適なのは?
1. 慢性的な人手不足、どの手段を選ぶべきか?
こんにちは!横浜を拠点に製造業向けの人材派遣を行っているリアスコです。
最近、現場や人事のご担当者からよくこんなお声を聞きます。
「人が足りないけど、正社員はすぐに採れない」
「派遣か業務委託か、どちらがうちに合ってるのかわからない」
「請負にしたら『偽装請負になるかも』と社労士に言われて不安に…」
どれも現場を預かる立場なら、一度は悩まれたことがある内容ではないでしょうか。
実際、同じ「外部人材の活用」でも、派遣と業務委託は契約内容も管理方法も大きく違います。
この記事では、製造業における派遣と業務委託の違いを、現場目線でわかりやすく解説していきます。
貴社の人材確保のヒントになれば幸いです。
2. 派遣と業務委託の基本的な違い
現場の人手が足りないとき、「人を入れる」手段としてまず思い浮かぶのが、派遣と業務委託(請負)です。
どちらも外部の人材を活用する方法ですが、仕組みも法律上の扱いもまったく異なります。
ここで、「わかるようでわからない」業務委託と派遣の違いをおさらいしましょう。
項目 | 派遣 | 業務委託(請負) |
---|---|---|
雇用関係 | 派遣会社と労働者の間にある | 委託先と労働者の間にある |
指揮命令権 | 派遣先(貴社)が持つ | 原則として貴社は持たない |
契約の種類 | 労働者派遣契約 | 業務委託契約(請負契約など) |
成果責任 | 基本的に労務提供が目的 | 成果物や業務完了が目的 |
どちらも「外部の人が工場で働いている」ように見えて、実は契約形態も管理方法も大きく違うんですね。
言い換えると――
- 派遣は「人を借りる」契約。
現場の管理者が直接、作業の指示を出せます。 - 業務委託は「仕事を任せる」契約。
作業の進め方は請負会社に一任されるため、こちらから日々の指示を出すことはできません。
この「指示できるか・できないか」の違いが、現場運用のしやすさや法的リスクにも直結します。
次の章では、それぞれがどんなケースで使われているのか、製造業の現場例にそってご紹介します。
3. 製造業における使い分けの実例
派遣と業務委託、それぞれが向いているケースをご紹介します。
【派遣が適しているケース】
- ライン作業や組立などの単純反復業務
- 短期間で即戦力が必要なとき
- 既存社員の欠員補填や繁忙期の一時対応
派遣と業務委託、それぞれが向いているケースをご紹介します。
【派遣が適しているケース】
たとえば、次のような場面では派遣社員の活用が効果的です。
- 組立ラインの作業員が急に辞めてしまった
- 繁忙期に短期間だけ人を増やしたい
- 正社員が育つまでのつなぎ要員が必要
こうしたケースでは、現場の指揮系統の中に入って、日々の業務指示を出せる派遣のほうが扱いやすいんですね。
例えば、組立の現場で、熟練のパートさんが一気に3人辞めてしまって困ったときに、派遣スタッフを2名導入して1週間でラインを安定稼働まで戻す、というような活用方法があります。
「こっちで指示が出せる」「明日からでも入れる」――これが派遣の強みです。
【業務委託が適しているケース】
一方で、業務委託が向いているのは、仕事そのものを切り出せるケースです。
- 小物部品のバリ取りや目視検査など、定型業務を工程ごとに外出ししたい
- 自社で持ちたくない作業(たとえば塗装や梱包など)をまるごと外注したい
- 社内に設備がない工程を協力会社に委託して完了させたい
こうした業務では、「成果物として納品してもらう」業務委託の仕組みが合います。
ある中堅メーカーさんが、検査工程だけを外注することで、社員をラインに戻し、生産性を大幅に改善した例がありました。
ただしこのときは、工程をどう分けるか、どこからどこまでを委託にするかの整理がカギになりました。
派遣と業務委託、どちらが優れているという話ではありません。
業務の内容と、現場の管理体制に応じて「うまく使い分ける」ことが大切なんです。
次章では、こうした契約形態を使い分ける上で注意しておきたい法的なポイントや、現場で起こりがちなリスクについて触れていきます。
4. 注意点とリスク
派遣・業務委託どちらを選ぶ場合でも、事前に押さえておきたい法的な注意点や運用リスクがあります。
知らずに運用を誤ると、指導対象になるだけでなく、業務の手戻りや現場負担の増加にもつながりかねません。
✅ 偽装請負に要注意
業務委託でありがちなのが、「偽装請負」と見なされるケースです。
形式上は委託契約であっても、現場で発注者(=貴社)が直接指示を出していると、「実態は派遣と変わらない」と判断されます。
この場合、労働者派遣法違反に該当する可能性があり、是正指導や契約停止命令などのリスクを伴います。
✅ 派遣には「期間制限」がある
派遣社員は同一組織単位で原則3年までしか就業できません(いわゆる3年ルール)。
同じ方を継続して使い続けるには、直接雇用への切り替えや、派遣社員の交代が必要になります。
中長期的な戦力として活用したい場合は、あらかじめ計画的な対応が求められます。
✅ 委託先の管理も必要
業務委託では、委託先に作業の進め方や人材配置の裁量があります。
そのため、品質や納期の管理が甘い会社に委託してしまうと、自社側での手直しや再検査が発生するケースもあります。
このように、どちらの手法にも特有の制限やリスクが存在します。
次章では、「自社にはどちらが合っているのか?」を判断するためのチェックポイントをご紹介します。
5. 自社に合うのはどちらか?判断ポイント
「派遣と業務委託、どちらが適しているか?」は、業種や工程によって一概に言えません。
最適な選択をするためには、自社の現場体制や管理スタンスを客観的に見直す必要があります。
以下に、判断のヒントとなる視点をいくつかご紹介します。
▷ 指示・管理をどこまで自社で行いたいか?
- 現場で直接指示を出したい/作業の進め方をコントロールしたい
→ 派遣が向いています。 - 業務全体をまとめて任せて、成果物だけを受け取りたい
→ 業務委託が適しています。
▷ コストのかかり方に対する考え方は?
- 人件費(時間単価)として把握・管理したい
→ 派遣の方が明確です。 - 工程ごとの原価として計上したい/成果物ごとの単価で管理したい
→ 業務委託の方が適しています。
▷ 求める人材のスピード感と柔軟性
- 急に人が必要になった/柔軟に人数を増減したい
→ 派遣の方が調整しやすく、即戦力確保に向いています。 - あらかじめ範囲が決まっている業務を、継続的に任せたい
→ 業務委託の方が計画的に運用できます。
▷ 法的・契約面の管理体制が整っているか?
- 派遣法のルール(期間制限・同一労働同一賃金など)を把握し、遵守できるか
- 業務委託でも、現場での指示を避け、成果ベースで管理できる体制があるか
いずれの手法も、適切なルールの理解と運用が求められます。
契約だけでなく、現場の運用実態が一致しているかも重要なチェックポイントです。
以上のような観点から、自社の状況に合った方法を選ぶことが、安定した人材確保と現場の生産性維持につながります。
次章では、こうした比較を踏まえて、導入時のアクションや相談先についてご案内します。
観点 | 派遣 | 業務委託 |
---|---|---|
管理方法 | 指示・命令して進行 | 結果を受け取る |
コスト | 時間単価で発生 | 成果物単位で発生 |
フレキシビリティ | 短期的・柔軟に調整可能 | 業務全体を整理する必要あり |
リスク | 派遣法の規制 | 偽装請負のリスク |
「自社で細かく指示したい」「すぐに現場で動ける人が必要」なら派遣が向いています。一方、「特定の工程をまるごと外注したい」「自社での管理コストを減らしたい」なら業務委託が選択肢になります。
6. まとめ:どちらも“使い方次第”。最適な選択を
派遣と業務委託は、どちらも人材不足を補う有効な手段ですが、契約の仕組み・管理方法・リスクが大きく異なります。
- 指揮命令の有無
- 契約期間や法的制限
- 成果責任と運用の柔軟性
こうした違いを理解した上で、「自社に合った使い方」をすることが、人材確保を成功させるカギです。
とはいえ、「現場は日々忙しく、どちらが正解か判断しきれない」というケースもあるかと思います。
そんなときは、製造業の実情を理解している人材サービス会社に相談するのが近道です。
単なる仕組みの説明ではなく、「御社の現場に合うかどうか」という視点で提案を受けられるからです。
ご相談は無料ですので、「今すぐ導入するかは未定だけど話だけ聞いてみたい」
といったご連絡も大歓迎です。
どちらを選ぶべきか迷ったときは、ぜひ一度ご相談ください。
現場に寄り添うパートナーとして、私たちリアスコがお手伝いします。
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